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2013年07月20日

片山定期能 2013年7月

7月15日
描き上げた帯を締めて、観世会館に向かいました。8-213.jpg8-211.jpg
片山定期能 7月の公演の演目は以下の内容です。8-203.jpg
最初は能「小督」です。以前にも見た事があるはずなのですが、覚えていません。今回はしっかり、脳裏に刻み込もうと、お舞台を観ます。

ワキの勅使が、小督の失踪を述べて、高倉の院がお嘆きで、嵯峨野あたりにいるという噂をお聞きになり探し出すようにとの勅諚を受け、シテ 弾正大弼源仲国を呼び出します。
仲国は、折から八月十五夜、小督はきっと琴を引かれるでしょうから、その音を便りに捜すことにしましょうと答え、院の下さった寮の御馬に乗って急ぎ出かけます。
中入の後、舞台は嵯峨野の小督の隠れ家となります。「想夫恋」の曲を引くその音色と片折戸(片開きの門)を頼りに、仲国はようよう訪ねてきます。
会うまいとするツレ 小督を、トモ 侍女がとりなし、内に入って、院の文を渡します。小督は院の思召しに感泣し、文の返事をしたため、名残を惜しんで、酒を勧めます。仲国は舞を舞って、小督を慰めた後、馬に跨って帰ってゆきます。

この名月の嵯峨野の情景を、頭の中に思い描けるかどうかが、お舞台を楽しめるかどうかの分かれ目でしょうか?
簡素な作りの門片折戸を開けて、内に入る小督と侍女。侍女は背が高いので、屋根にぶつかりはしないかしらなどと思ってしまいましたが、そんなことはもちろんなくて、静かに戸を締めます。私だったら、あんな面をつけていたら、華奢な門ごと押し倒してしまいそうです。すっかりお笑いモードになってしまいますが・・・。

10分休憩の後、仕舞とあってロビーに出ると、皆さん一斉におにぎりなどを食べ始めます。久しぶりの会館なので、ちょっと二階も見学。椅子がこんなにあったかしらん。ランチタイムで、大賑わいです。サンドイッチやお弁当、お茶を準備されている軽食スペースもあって、盛況です。ランチには短すぎる休憩時間ですが、手短に終えて、皆さん席に戻られます。私もおにぎりをほおばるうち、開演のベルが鳴ってしまったので、仕舞「笹の段」を一つロビーのテレビモニターで拝見するはめになりました。二つ目の仕舞「船弁慶」を後ろの方で立ち見、能「夕顔」の前に席に戻る事が出来ました。

源氏物語の夕顔を主題とした能は、この「夕顔」の他に「半蔀」があります。「半蔀」が舞台設定を夕顔の住まい、光源氏が車を止めて、花を所望した場所にしていて、昔を懐かしく回想しつつ舞いを舞うのに対し、「夕顔」は、場所を何某の院(かつて融大臣が住まいしていた河原の院)、夕顔が物の怪に襲われ、息絶えた所にしていて、その非業の死を語り、僧の弔いに救われるという少し重い感じです。
前シテも後シテも片山信吾さん(現5世井上八千代さんのいとこ)です。前シテが、僧に説明をするあたり、動きが扇風機が首を振るような静かさと感じてしまったのは、あまり良い例えではないかもしれませんが、ちょっとそんな連想をしてしまいました。後シテは、登場から美しく、ほぼ正面の席に座っていたので、舞台前方に進み出られた時には、なんとも圧倒される美しさでした。装束の色合いといい、面の美しさといい、エンドルフィン大放出の至福の時を過ごせました。

狂言「杭か人か」単純に楽しめました。仕舞「班女」は、人間国宝の片山幽雪さん(現5世井上八千代さんの父)昭和5年のお生まれ。薪能で観て記憶に新しい演目です。続く仕舞は、息子の九郎右衛門さんによる「阿漕」さすがによく似ていらっしゃる。

ラストは、能「小鍛冶」

夢のお告げを受けた一条天皇の命により、刀匠として名高い三條小鍛冶宗近が、狐の精霊の姿で現れた氏神の稲荷明神の相鎚により、名剣「小狐丸」を打つお話です。
本舞台は野外の舞台と違って、囃子方の音も、床を踏み鳴らす音もよく響きます。前シテの声より、囃子方の勢いの方が強い感じです。後シテの霊狐の登場で、ますます激しく鳴り響きます。以前は白頭を観たような記憶。狐のたてものを付けていて、可愛かったのですが、今回は黒頭。ちょっと重い感じでしょうか。
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祇園祭「長刀鉾」の上に上げられている長刀も宗近の作とされています。実物は宝物として町内に保存されているようですが。

お土産に、売店で販売されていた能面ぬりえを購入しました。8-202.jpg
ぬり絵をして切り取り、ゴムを付ければ、能面の出来上がり。シテ方ごっこをして遊べます。楽しいかも~。

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