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2016年06月09日

第67回 京都薪能 1日目

6月1日 今年も京都薪能を観に行きました。12-287.jpg
今年は天候に恵まれ、雨の心配もなく、暑くもなくいい具合だと思っていたのですが、風が強く、暮れるにつれ、寒くなってきて、取り敢えず、いろいろ羽織ってしのぐという、思いがけない事態になりました。12-286.jpg
今年も、最前列をキープして、開演を待ちます。12-283.jpg12-282.jpg
(五輪開催年に復興と平和を祈る)という副題が付いた今年の薪能、金剛流の「翁」に始まり、神様が主役の番組が多いのですが、如何せん、半能ばかりのようです。12-280.jpg
コーディネートは、翁に合わせ、松の帯に翁面の帯留にしてみました。

短時間に多くの番組を盛り込むとはいえ、これまでは、後半のみの半能もありましたが、ところどころはしょりながらも、前場、後場と演じられる番組もあるという構成でした。今年は、すべて後半の盛り上がるところだけを演じるという形になっていました。ワキ方が出て来て、ちょっと説明したかと思うと、すぐ後シテが出て来て、気持ちが付いていけず、とまどってしまいました。初心者には、やや退屈な前場を端折り、賑やかな場面を見せた方が、受けがいいのかもしれませんが、個人的には、気持ちの早送りが間に合わず、サビ場面に、感情のピークが来ないまま、終盤へと向かってしまう感じです。
月岡耕漁 「杜若」12-281.jpg
「杜若」在原業平を偲ぶ内容で、好きな演目の一つです。この春には、業平寺(十輪寺)にて、散る花を眺める事も出来たので、いっそううれしいです。愛知県知立にある無量寿寺の八橋かきつばた園も、訪れてみたいものです。
ワキ方は、原大さん!杜若の精の舞に酔いしれているさなか、観客の一部がざわっとして、はたと舞台全体を見渡すと、笛の帆足正規さんが、静かに静かに横に倒れられました。後見の方が少しばかりその寝姿を舞台わきへと引きずられ、舞台側に背を向けて、隠されました。人工呼吸が始まりAEDが持ち込まれた様子が、隙間から見え、ただ事ではない様子ですが、舞台は何事もないかのように、終盤へと。能は何事があろうと続行するという習わしなので、次の演目の笛方である左鴻康泰弘さんが静かに座られて、粛々と舞台はエンディングを迎えました。
やがて、救急車の音が近づき、大勢の後見が幕を張る中、タンカで運ばれて行かれました。しばしの休憩の後、最後の演目「春日龍神」が始まりました。
翌日のニュースで、大動脈弓部破裂で死去されたと知りました。享年85歳。さぞやおもてになったであろう面立ちのすっきりした素敵な方でした。最後のお舞台、序の舞を務められた御姿が目に焼き付きました。お冥福をお祈り申し上げます。

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